健康支援トピックス

2013/08/19

子どものアトピー性皮膚炎

遺伝や環境、皮膚が外部からの侵入に弱いことや免疫バランスの未発達など、いろいろな要因が重なって発症

赤ちゃんや幼児によく見られる湿疹に、アトピー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎の症状が出始めるのは、生後2~3か月ころから。強いかゆみを伴うので子どもにとってはつらい病気ですが、多くは2~3歳頃になると軽快し始め、学童期にはほぼ治る、というのが典型的な経過のたどり方です。早めの発見・受診、適切な治療とスキンケアを継続することで重症化を防ぎます。

アトピー性皮膚炎は、かゆみがある湿疹を特徴とする皮膚疾患です。アトピーという言葉は「奇妙な」とか「不定形な」という意味があり、約1世紀前にそれを命名したSalzburger博士も、「アトピー」は間違った名称であると後に述べています。

フィラグリンという遺伝子(アトピー性皮膚炎患者全体の2~3割で検出される)の変異など、表皮角層バリアが弱く、そのバリアを通過した様々な環境抗原に感作されアレルギー反応がおこり、症状が現れます。家族に同様の症状が現れる人がいることが多く、IgEという抗体ができやすい体質といわれます。

また、ダニや花粉、食物など特定の物質に対して過剰な免疫反応が起こるものをアレルギーといいますが、アトピー性皮膚炎は衣類の刺激や乾いた風などの非特異的な刺激に対しても反応を起こして発症してしまいます。

誘因物質は、乳児期では卵、牛乳、小麦などの食物が多く、石けんや洗剤なども関与します。その後、1歳を過ぎるとダニやほこりといったハウスダストが誘因に加わることもよくあります。なぜ、過敏に反応するのかについては、はっきり解明できておらず、複数の遺伝子的な要因や環境的なものがからみ合っていると考えられています。

皮膚炎は、顔や耳の下、首回りなどのほか、ひどくなると手首、足首、ひじやひざの内側などに及んでいきます。皮膚の様子は、最初はジュクジュクし、赤みを帯びてかゆく、それが乾いて角質化すると固くガサガサになることも。

全身が乾燥肌になり、耳切れを起こすのもアトピー性皮膚炎の特徴といわれています。かゆみが強いために、子どもはがまんがきかずにかきむしってさらに悪化する、皮膚のバリア機能がおとろえて悪循環に陥ることも少なくありません。

乳幼児のアトピー性皮膚炎は食物の関与が大きいため、アレルギー検査(抗体検査)をして診断が行われることもあります。その結果、陽性の抗体があるときは、その食物を避ける(除去する)ことで皮膚炎がかなり軽減することがあります。

治療の上で大切なことは、正しく薬を使うこと、こまめなスキンケア(保湿)を行うこと、環境の改善をすることが挙げられます。薬は一般的に重症度に応じてステロイド軟こう、非ステロイド軟こう、保湿剤などが使い分けられます。

ステロイドはかゆみを止め、ジュクジュクした状態を改善するには有効ですが、きれいになったと自己判断で中止すると再発し悪化することもあります。薬の量や種類の調節、皮膚への塗り方、やめ方も大事ですので、医師とよく相談して、指示を守って効果的に使いましょう。

炎症のある皮膚は清潔が大事です。汚れたり汗をかいたりしたときは、できるだけ早く刺激のない石けんで洗いましょう。シャワーでよく流し、赤ちゃんは口まわりや耳の後ろ、関節のしわの間の汚れにも注意してください。入浴後は保湿剤などを塗布して乾燥を防ぎます。

保護者は大変ですが、日常の生活環境にも気を配りましょう。ハウスダストが誘因になることも多いので、じゅうたんや床、寝具などにこまめに掃除機をかけるなど、ダニやほこり対策をしっかりと行ってください。

季節の変わり目にはエアコンのフィルター掃除も忘れずに。環境対策やアレルゲンの除去、薬剤治療を続けることで、重篤なアトピー性皮膚炎の患者も症状のほとんど出ない寛解の状態になっていくケースが少なくありません。



監修:はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック院長 生井明浩